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中学校3年の最後の国語の授業のことだ。

教科書の最後のページにあった宮沢賢治の
「生徒諸君に寄せる」を解説、朗読するのだと
結構楽しみにしていた。

ところがその日、先生は教室に入って礼をするなり
黒板に向かって漢詩を書き始めた。


 

渭城朝雨潤軽塵  
客舎青青柳色新
君更盡一杯酒  
西出陽関無故人


渭城の朝雨軽塵をうるおす
客舎青青柳色新たなり
君に勧む更に尽くせ一杯の酒
西のかた陽関を出ずれば故人無からん

有名な王維の「元二の安西に使いするを送る」だ




 


これを私たちは何度も朗読させられた。
漢詩など嫌いな子には退屈極まりない授業だったに違いない。
生憎私は自称文学少女だったので
この視覚的、音響的に美しい詩を気に入り
先生もなかなか粋なことをするな、と思った。

そして、こうして今でも忘れない、ということは
まんまと先生の策略にかかった、ってワケだ。 

そういえば、弟と私は同じ先生に国語を習ったが 
弟の最後の授業の時はどうだったのだろう。




 


春といえば、あまりにも有名な于武陵の詩はどうしても外せない。  

勧君金屈巵  
  
満酌不須辞  
  
花発多風雨  
  
人生足別離  


君に勧む金屈巵
  
満酌辞するを須いず
  
花発けば風雨多し
  
人生別離足る



 

これを井伏鱒二はこう訳した。  

コノサカヅキヲ受ケテクレ
  
ドウゾナミナミツガシテオクレ
  
ハナニアラシノタトエモアルゾ
  
「サヨナラ」ダケガ人生ダ


これは訳というには素晴らし過ぎる。
この「勧酒」をここまで日本人に馴染みにさせたのは
井伏のこの名訳があったからこそ、だ。 
 


 


そして今年も桜は例外なく嵐に遭い
私たちは多くの人と惜別するのだろう。  



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