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12月3日の窓を開ける。

12-3-1.jpg

知恵の女神、ミネルヴァのお使いの梟か?





私がまだ実家にいた頃のクリスマスケーキは、私の手作りだった。
 
オーブンを買ったばかりだった、というのと
とにかくケーキを作りたい!という創作意欲が満々だったからだ。
(今でも「とにかく作りたい!」という困った癖は直っていない)
 
今から30年ほど前のふぐすまは、冬にハウス栽培のイチゴなど
出回っていなかったので、ケーキの間の果物は缶詰のパイナップルか
黄桃、デコレーションは生クリームならぬホイップクリーム。
それに“Merry X’mas”と書いたチョコレートの板なんかを
飾っていた。
 
当時のオーブンは火力がやたら強く、オーブンの癖も理解せずに
作っていたので、私の作るケーキはマドレーヌでもスポンジケーキでも
まわりがちょっと焦げて、いまいち膨らみの足りないちょっと堅い
ものだった。
 
20歳頃のクリスマスに、お洒落なケーキの本に載っていたシンプルな
ケーキを作った。
中に薄切りのパイナップルを挟み、ケーキの上はクリームを一面に
星型の口金でひとつひとつ絞り出しただけのもの。そこに柊の枝を飾る。
不○家のデコレーションケーキが全盛だったころ、その真っ白な
クリームだけのケーキは、私にとってはとてもお洒落なものだった。
 
事実、それを見た(何事も滅多に褒めない)母も
「まぁ! キレイなケーキだこと!」と言ったものだ。
私は得意満面で、皿にのせたケーキをそのまま冷蔵庫に入れた。
 
当時、高校生だった椿弟は
「今日のクリスマスのご馳走は何かな~♪」と、冷蔵庫を開けて
(弟はクリスマスに限らず、学校から帰ってくるや否や冷蔵庫を開ける
趣味があったのを、今思い出した)
そのケーキの存在を知った。
 
そして私の方を見て
「姉ちゃん・・・今年のケーキはこれだけ? サンタも何ものってないの?!」と
情けない声で言った。
「えー、何言ってんの! このシンプルなケーキがいいんじゃん。
 サンタとか、このケーキには合わないよ。」
と私はつっぱねたのだが、弟は食い下がった。
「それにしても、せめてサンタとかないとさ、それっぽくないと思わない!」
 
結構真剣な訴えに、天使の心を持つ姉の私は負けた。
「じゃあ、いいよ。自分で好きな飾りつけしても。 ぶつぶつ」
 
弟は小遣いを握り締めて、家の前の大型スーパーに走って行った。

 
私が買い物に行ったか、自分の部屋に引っ込んだかして1、2時間。
台所に戻り、ケーキの様子を見るために(クリームが乾いてないか、とか)
冷蔵庫の扉を開けた・・・。
そこには白いケーキの真ん中に「コケコッコー!」と、まるで早起き鳥のような
形のメレンゲ製の鶏が今にも羽ばたかんばかりにこちらを見ていた。
そしてケーキ一面にチョコレートのカラースプレーが撒いてあった。
「こ、これはいったい・・・。私の作ったあの美しいケーキは?」と
半べその私に、弟は
「これでやっとクリスマスケーキらしく、賑やかになった!」と
心から嬉しそうに言ったのだった。
 
そしてもちろん、その年のクリスマスは砂糖菓子の鶏が乗ったケーキを
家族全員で食べたのだった。
 


12-3-2.jpg
 (昼休みに銀座〇越まで走って買いに行ったメイクアップ・キット)


私が結婚してからも、弟とクリスマスケーキを一緒に食べたことが
2度ほどあったのだが、私たちのこだわりは
「クリスマスケーキは丸くて、サンタが乗ったもの」だ。
クリスマスケーキを食べる楽しさは、「今年のサンタの顔は変だ」とか
「家はウェファースでないと」とか「アラザンがかかったバラの花の
数が少ない」とか言い合うことなのだ。少なくとも私たちには。
 
諸々の事情によって、1度はブール・ミッシュのお洒落な
でも、サンタは鋸を持っている、という変わったケーキが弟から
献上され、またある年の献上ケーキはなぜか、マキシムの
ナポレオン・パイだった。それも長方形の。

そのナポレオン・パイの年のクリスマスの夕食が終わって
ケーキを切る前に、弟が発した言葉はこうだった。
「いやー、これで小野屋の鶏があったら完璧だったのにね。」
小野屋とはふぐすまの鶏屋で、ここの鶏の丸焼きはとても美味しく
クリスマスになるとお歳暮として届くか、それが無い場合は
24日の昼間、私が弟を連れて買いに行ったりしていたのだ。
その小野屋もだいぶ前に閉店したらしい。残念だ。
 
 
今年の弟宅のクリスマス・ケーキはK子ちゃん手作りの
シュトーレンらしいが、心優しいK子ちゃんはシュトーレンに
きっと、サンタとウェファースの家をのせてくれるに違いない。
 
K子ちゃん、椿の実家のクリスマス・ケーキは
丸くてサンタののっているもの、なのだ。
よろしくね。
 
 
・・・やっぱ史上最強小姑か。


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コメントありがとうございます。
◇mogさん
せめて自分で最強小姑だと認識しないと(笑)
クリスマスはやはり「思い出」がご馳走なのですね。
苺の入っているホールケーキとはやはり、都会の方
ですね。私たちの小さい時はバタークリームのケーキしか
ありませんでした。


◇うっしーさん
スポンジケーキは卵を湯せんにかけ、全卵で共立てに
するともったりして、きめの細かい泡になるらしいです。
そしてほんの少しB.Pも。
でも混ぜているうちにどんどん生地がしぼみ、どれだけ
悔しい思いをしたか。
私も今はパウンドケーキ専門です。


◇nana-bataさん
そうよ~。この金ピカ加減が、私のために
作ったんじゃないか、と思うほどで、思わず
買ってしまったのです。
アイスクリームケーキは、私たちの小さい時は
高級品で、私は1度しか食べたことがありません。
当時は冷凍庫もなかったから・・・言い訳ですけど。



椿 2009/12/06(Sun)19:45:24 編集
無題
うわぁ~金ピカだ~
椿さまにピッタリ♪

ケーキを作ろうと思ったことが、生まれて一度もない。
そして小さい頃のうちのクリスマスケーキはアイスのだった。
なぜならば田舎のケーキ屋さんのケーキがゲ○まずだったので。
(そのせいで、大きくなるまでケーキ嫌い。)
nana-bata 2009/12/06(Sun)13:31:09 編集
私も
私も、実家にやっとオーブンが入った時は、ケーキが焼きたくて焼きたくて。

スポンジケーキにもチャレンジしました。

が、しかーし、今は、パウンドケーキ専門です(;^_^A
うっしー 2009/12/05(Sat)18:52:31 編集
認識
>・・・やっぱ史上最強小姑か。

認識されているだけで十分かと...夢譚のお局様。
クリスマス。
いろいろな思い出がよみがえって笑えるということが何よりだなと思うようになりました。
今年も母と二人でやりますかね?!
ちなみにクリスマスケーキはイチゴの入っているホールケーキ、というのうが母のこだわりです。
mog 2009/12/04(Fri)11:32:06 編集
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